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 古文書と共に

        ―古文書・愛犬・時々バイオリン―


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私の古文書ライブラリ 其一

東照神君御遺教(安政四年写本)

 家康の遺訓といえばまず思い浮かべるのがこれである。実は全くの創作であるが、偽作と断定されても家康の人世訓として今に語り継がれている。
 徳川宗家の子孫で徳川美術館の館長でもある徳川義宣氏の研究によるとこれは徳川光圀の訓として伝えられた一文が幕末になって家康の遺訓として世に広まったとのことである。各所にある家康自筆の遺訓は明治になって贋作されたことまで調べられている。この文面が普及したのは幕末からとのことだが、少なくともこれが書かれた安政四年にはあったことをこの写本が語っている。


原文



解読文

  東照神君御遺教

  人の一生は重荷を負て遠き道を行がことし、急く
  へからす、不自由を常と思へハ不足なし、心に望発る
  ならハ、我より困窮の者を思ふへし、堪忍ハ無事
  長久の基ひ、物好ミハ敵と思へ、勝事計りを知て、
  負る事をしらすハ、其身を害するに至る、唯己を
  責て人を改るな、何事も及さる事過たる
  より増るぞかし


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